──ノスタルジックオートデイ 浪岡で出会った、同じ名前の違う哲学
会場でたくさんの名車を眺めながら歩いていると、一角に妙な引力を感じた。
黒、黄、白。3台のSW20が、まるで打ち合わせでもしてきたかのように並んでいた。
同じトヨタMR2。同じSW20という型式。でも、放っているオーラはまるで違う。近づくほどに、それぞれの「時間」が滲み出てくるような気がした。
黒の平成2年式──静かな誇り
最初に目を引いたのは、ボンネットを開けて展示していた黒のSW20だった。
平成2年(1990年)式、つまり1型。SW20がデビューしたばかりの頃の個体だ。
ボディは深みのあるブラック。BBSメッシュホイールが足元を引き締めていて、派手さはないのに「わかっている人が仕上げた」という品格がある。
ボンネットを開けた状態で展示しているのが嬉しかった。エンジンルームまで丁寧に整備されていることへの、オーナーの自信だろう。前後にリッドが開くSW20ならではの展示方法で、見物客が次々と覗き込んでいた。
1型のSW20は、リアヘビーな特性で「扱いにくい」と言われた時代の個体でもある。それでもこうして30年以上、大切に乗り続けているオーナーがいる。その事実だけで、十分に語り掛けてくるものがある。
黄の平成6年式──乗り手の意志を叫ぶ色
隣に並んでいたのは、強烈なイエローのSW20だった。
平成6年(1994年)式。ちょうどSW20が3型前後にあたる頃で、サスペンションの改良が重ねられ「乗りやすくなった」と評価が変わり始めた時期の個体だ。
とにかく、黄色が潔い。
フルエアロに黒いホイール、一体感のあるフロントスポイラー。すべてのパーツが「速く見せるため」に選ばれている。黒の初期型が「静かな完成」を目指しているとすれば、このイエローは「俺はこういう車が好きだ」という宣言だ。
車内を覗き込んだときに見える黒も映える。ここまで徹底されると、もはや清々しい。
白の平成11年式──最終型が辿り着いた答え
3台の中でもっとも新しい、平成11年(1999年)式の白いSW20。
SW20の生産は1999年まで続き、最終型にあたる5型はデビュー当初の荒削りさがすっかり洗練された姿になっている。この個体はさらに、オーナーが手を加えて一段上のステージに連れていっていた。
カーボンボンネット。フロントリップスポイラー。そして、ゴールドのホイール。白×黒×金という配色は、チューニングカーの定番でありながら、やはりまとまりがある。
目を引いたのはボンネット上のエアアウトレット処理だ。冷却への本気度が伝わってくる。サーキットも視野に入れた仕上がりで、「乗って使う」ことへの意志を感じた。
同じ名前の、違う30年
SW20トヨタMR2は、1989年から1999年まで生産された。10年という長い期間に5つの型を重ね、デビュー時の「難しい車」というイメージをゆっくりと脱皮していった。
浪岡に並んだ3台は、その10年の始まり・中間・終わりをそれぞれ体現していた。
黒は「生まれたての緊張感」。
黄は「乗り手が育てた個性」。
白は「時代が磨いた完成形」。
同じ車種でこれだけ違う見せ方ができるのは、SW20がそれだけ懐の深い車だということだろう。そして何より、30年以上の時間をかけて大切に乗り続けているオーナーたちが、それぞれの「正解」を持っているからだと思う。
会場を後にするとき、もう一度だけ振り返った。
黒、黄、白。3台はまだ、静かに並んでいた。
この3台も素晴らしい!
今回はちょっと口調を変えて記事を書いてみました。
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文:カゲノヒト3
※記事に誤りや、このクルマには
このことに触れないとダメでしょ!
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